「神聖は土地に縛られない」 先日紹介した「延烏郎・細烏女 物語」は夫婦が新羅と日本で共に神となった事例だ。今日はその延長線で、「日韓カップル」が1000年以上前の神話の時代で神となった事例を紹介しよう。 日本書紀・古事記・播磨国風土記に記録された「アメノヒボコ(天日槍 / 天之日矛)」物語」だ。 ========================= 昔、新羅の国王の子で、名は天之日矛という者がいた。 新羅のアグヌマ(阿具奴摩、阿具沼)という沼で女が昼寝をしていると、その陰部に日の光が虹のようになって当たった。すると女は娠んで、赤い玉を産んだ。その様子を見ていた男はその玉を貰い受け、肌身離さず持ち歩いていた。 ある日、男が牛で食べ物を山に運んでいる途中、天之日矛と出会った。天之日矛は、男が牛を殺して食べるつもりだと勘違いして捕えて牢獄に入れようとした。男が釈明をしても天之日矛は許さなかったので、男はいつも持ち歩いていた赤い玉を差し出して、ようやく許してもらえた。天之日矛がその玉を持ち帰って床に置くと、玉は美しい娘になった。 天之日矛は娘を妻とし、娘は毎日美味しい料理を出していた。しかし、ある日奢り高ぶった天之日矛が妻を罵ったので、先祖の国に帰ると言って小舟に乗って難波に逃げてきた。その娘は、難波の比売碁曾の社に鎮まる阿加流比売神 (アカルヒメノカミ) であるという。 天之日矛は、妻が逃げたことを聞いて、すぐに跡を追って海を渡り、難波に着こうとしたところ、その海峡の神が行くてをさえぎって難波に入れなかった。 そこで一度戻って、但馬国(たじまの国)に停泊した。天之日矛はそのまま但馬国にとどまり、但馬の娘と結婚して子を生んだ。 この際に彼が持ってきた八種類のものは、神宝となった。 ========================= 日韓カップルの物語といっても、最近のドラマとはかなり違った内容だが、まとめると: 新羅の国王の子、アメノヒボコは、 はじめに太陽の精で生まれた女の子、「阿加流比売神」と結婚した。 面白いことに彼女は、日本に逃げる時に、日本を「先祖の国」と言った。にもかかわらず、先日のスサノオと同じく、新羅で降臨した。 日本に渡ってきた際のアメノヒボコの持ち物は、神宝となり。播磨国風土記では、彼自身も「神」と記している。 つまり。当時の日本は新羅もまた「神のいる」国として見ていたこととなる。 「神聖は土地に縛られない」事例はこうして日韓両方の歴史書で、日韓というそれぞれの国を超えて、繰り返される。